私がこれまでに会ってきた留学生の中には少なからず日本脱出して海外移住を希望する人がいますので、この手の話は良く聞きました。
しかし、私の経験上から言うと新興国へ海外移住して生活レベルを下げて生きていける人はそれほど多くなく、これまで出会った人たちも大体は1年以内、長くても3年以内に日本に帰国した人ばかりです。
そこで、フィリピンに海外移住して、東南アジア圏の国で各1ヶ月程度滞在した経験から、新興国に移住するのは生活レベルを下げるだけなじゃいという現実がどういうことなのかまとめてみました。
新興国に海外移住して生活レベルを下げるということ
フィリピンなどの新興国に海外移住して生活が落ち着くまでは、それはもうたくさんのトラブルが待ち受けていますし、何をしていても思うように行かないことだらけです。
それが日々起こっても面白いと思えるサバイバーな人であれば良いですが、一般的な社会でしか生活したこと日本人にとっては我慢できないことだらけです。
タイなどは「タイ人LOVE」だった人が、日常生活や仕事でタイ人と関わり始めたら大嫌いになったけど、生きていくには我慢しなければしょうがないという話も良く聞きますし、フィリピンでもそんな話は当たり前です。
それでは、新興国に移住すれば当たり前のことをチェックしてみましょう。
新興国ではトイレは紙が流せないし汚い
これは有名なことですが、トイレに紙が流せないのは東南アジアではかなり当たり前ですし、トイレに入ったら便座がないなんてこともごく普通のことです。
日本人が普段出入りするようなお店やショッピングモールなら綺麗ですが、少しローカルな場所に行けば臭いし汚いしで使う気にならないレベルです。
日常生活でも、トイレに紙が流せないので便座の横にはいつも汚いティッシュが溜まり、トイレで落ち着く人も多い日本人にとっては非常に不快な空間となってしまいますね。
東南アジアでは水シャワーが標準装備
新興国でも物価が安い暑い国では水シャワーが基本です。
外国人や日本人が住めるレベルの部屋を借りればホットシャワーがありますが、ホットシャワーがあるレベルの部屋は、もちろん家賃も高めな場合が多いですね。
「フィリピンは暑いから水シャワーで十分」と言って生活していた日本人も少なからず見てきましたが、どこからどうみてもやせ我慢しているようにしか見えませんでした。
もちろん、ホットシャワーを自費で取り付ければ良いのですが、設置はオーナー側の大工がすると言って高い手数料を要求してくる輩もいるので、これも一々面倒くさかったりします。
東南アジアでは水や食べ物に安全は無い
海外では基本ですが、水道水は飲めません。
しかし、それにも関わらず、外国人が出入りするようなお店で出される水の多くは水道水ですし、水道水を使っていなくても、入っている氷は水道水というパターンですね。
良く氷入りの飲み物は飲まない方が良いという話がありますが、どちらも水道水の可能性があるので飲水はペットボトルの水が基本です。
もちろん、食べ物にも安全性は皆無です。
例えば、フィリピンで販売されている美味しいフルーツなどでも、スーパーやマーケットで販売されているフルーツはマシですが、道端などで販売しているフルーツは家の軒先から取ってきたレベルのものが多々あります。
こういったフルーツは「生活用水」を吸って育っているので、重金属(ヒ素・カドミウム・水銀・鉛など)を含んでいる可能性が非常に高いですね。
東南アジアでは衛生的なんて期待しない
食べ物と同じですが、衛生面でも気になる人は生きていけません。
このお店は衛生面が悪いから行かないなんて言っていると、行けるお店は高級店だけになりますし、そんな高級レストランも仕入れの基本はローカルマーケットだったりしますからね。
例えば、フィリピンの語学学校では安全で美味しい料理を提供していますというような宣伝をしていますが、学校で提供されている料理の食材は高確率でローカルマーケットから仕入れているので「うわーこんなの怖くて食べられない」と思っている物を毎日食べているのが現実です。
東南アジアでは虫なんて出て当たり前
部屋に蟻やゴキブリが出るなんて当たり前ですし、フィリピンでは知らない間に足が腫れていて、何が原因かと思ったらゴキブリに噛まれていたということもありますね。
私も「ゴキブリは噛まないでしょ」と思っていましたが、ゴキブリは案外攻撃的だそうですよ。
また、少し食べ物を放置したり、床に食べかすを落とせば数時間以内に蟻の行列ができるのには関心しますね。
災害に弱く停電や断水は当たり前
私が住むセブ島はそれほど自然災害が無いのですが、それでも台風が島のどこかを掠めただけでも、停電や断水がすぐに起こります。
タイでも定期的に大洪水が起こって被害がでていますが、台風や地震がなくても雨が降ったら道が洪水になることも良くありますし、日本の洪水と違って新興国で洪水になると糞尿まみれの汚水が全て道に溢れ出てくるので本当に怖いですね。
良く映像で洪水の中を歩く人がありますが、生死の危険があるくらいにとんでもないですよ。
また、私の住んでいるコンドミニアムなどでも、いきなり「今日は8時間停電する」なんてことが起こって、冷蔵庫の中身がヤラれてしまうこともありますし、月に1度は数時間の断水が起こります。
自分の非は認めないし自分が最優先
フィリピンでも、主にお金持ちと外国人が出入りするような外資系の高めのお店であればかなり対応が良くなってきましたが、ローカルレベルではお客さんというような対応はしません。
例えば、洗濯物を出して返ってきた洗濯物が足りないとクレームすると「そんなものは入ってなかった。入れた証拠は?」と開き直って終わりです。
他にもレストランでオーダーしたものが全く来ていなかったとして、フロアスタッフに聞いても作っているのは自分ではないので悪いのは自分ではないという考えが普通です。
会社に属していても、自分が責任の一端を担っていると感じている人は皆無です。
基本的には、何かあったとしても絶対に自分の非は認めないというところから始まるので、イライラさせられるどころの話ではありませんね。
日本のような過剰なお客様扱いは必要ありませんが、最低限、人と人との信用をあっさりとぶち破ってきますよ。
あまりの仕事の出来なさ加減にイラついて怒ってしまうと何の手続きも進められず途方にくれることになりますね。
渋滞が酷く交通事情がすこぶる悪い
交通事情が悪いのは、アジア圏ではどこも同じですね。
最近のアジアの大都市圏では、歩いて20分の距離なのに車に乗ったら1時間掛かるなんてことも当たり前ですし、通常1時間の距離が3時間掛かるのも珍しくありません。
また、交通ルールは無いも同然です。
基本として「車=お金持ち=その国のルール」なので、お金の無い貧困層の歩行者が一番弱い立場になります。
フィリピンでは、もし車で人を轢いてしまったら「生きてたかられるより、息の根を止めて格安の保障で済ます方が良い」と言われるくらいです。
人の時間を無駄にする人がゴロゴロいる
新興国では人の時間を無駄にする人がゴロゴロといますね。
フィリピンでは「フィリピンタイム」、インドネシアでは「ゴムの時間」などと言われますが、彼らと日本人の時間の感覚は全く違います。
プライベートな時間であれば仕方ないと諦めも付きますが、仕事の話となるとそう簡単に許せるものではありません。
まとめ
さんざんマイナス点ばかり書いてきましたが、こういったことをゴクリと飲み込んで楽しめる性格をしていないと特に東南アジアで生活することは難しいですね。
お金を持ってお客さんとして優雅に生活する分には関係ない話ですが、ローカルにドップリと浸かって仕事も生活もしようと思うと異常に腹が立つことなんて何度でもあります。
そのような時に怒るのではなく、どうやってそういう人達や環境をコントロールするか、どうやって予想出来る問題を潰していくかなどを前向に考えていかないとストレス抱えて即帰国になりますよ。
もちろん、そんなことを飲み込んでも日本より過ごしやすいから海外で生活しているんですけどね。