よく英語のリスニング力を上げるのに洋楽を練習すると効果があるという意見がありますが、本当に洋楽を歌う練習をしていればリスニング力が上がるのか気になるところです。
その答えから言えば「リスニング力だけじゃなくて、英語のあらゆる面に効果がある」と間違いなく断言できます。
第二言語習得学の観点からも、歌を歌って言語の練習をすることは効果があると言われていますね。
ただし、どんなレベルの人でもおすすめできる訳ではありませんので、その点は注意が必要ですね。
そこで、英語力を上げるのに洋楽を歌う練習をすることで、どうして効果があるのかについてご紹介しましょう。
英語のリスニングに洋楽は効果がある?
まず最初にお伝えすると、TOEICリスニングでせめて250点ほどは無いとリスニング力アップに洋楽を歌う練習をしても効果は低いでしょう。
最低限中学レベルの文法の理解力と中学文法レベルの短文なら聞き取れるリスニング力が無いと、英語の学習ではなく本当にただの時間つぶしになってしまいます。
よく英語学習のブログなどで、初心者でもおすすめの英語の歌~などの紹介があります。
しかし、内容も理解できない、聞き取れてもいないというような状態で歌を覚えて何度繰り返したところで、それが活用できるほど頭には入ってきません。
英語の学習抜きに、純粋に歌が好きであれば気にする必要ありませんが、これも発音の基礎を身に着けずにカタカナ英語で練習すると後々苦労することになるでしょう。
まずは順序よく基礎から学習することを強くオススメします。
英語のリスニング力アップに洋楽が最適な理由
リスニング力だけでなく、英語力を底上げするのに洋楽を歌う練習をするのが最適な理由はたくさんあります。
まず、考えられる効果を全て書き出してみましょう。
発音を意識することで英語がかっこよくなる
まずは、最低限の正しい発音を知っていることが前提になりますが、歌手の発音を真似しながら練習を続けることで発音がかっこよくなります。
さらに、口の筋肉も鍛えられますし、下の使い方、喉の使い方なども身につくようになります。
ネイティブのスピードに慣れることができる
日本人用に販売されているような音声の英語教材の多くは日本人が聞きやすいスピードで作られており、1分間80語~120語前後のモノが多いです。
しかし、実際にネイティブが話す英語のスピードは1分間に180~200語ほどになるので、練習では聞き取れても本番では聞き取れないということになってしまいます。
歌にもバラード、POPS、ROCKなどいろんな種類がありますが、リスニング力アップを目指して利用するのであれば、少し早めの曲がオススメです。
例えば女性であれば、Taylor SwiftやAvril Lavigne、男性であれば、年中何かの曲が流行っているBruno Mars、若い世代向けならOne Direction、定番で歌われるJason Mrazなども良いですね。
ネイティブの自然な言い回しが学べる
日本語の歌と同じで英語の曲にも話し言葉からスラングまでいろんな言葉が使われています。
そのまま覚えしてしまえばかっこよく使えるフレーズや最新の言葉など、学習教材には掲載されていない言い回しが学べます。
スラングなんて覚えても勉強にならないという意見があります。
しかし、世界に出るとそういった言葉は頻繁に使われていますので、知っていて理解できるけど使わないのと、使わないから覚える必要がないというのはまったく意味が違いますね。
語彙力・単語力が身につく
当たり前ですが、歌の中には知らない単語がたくさん出てきますので、自然と語彙力が増えます。
特に、日本人は単語の学習を単語帳などで勉強する傾向にあるので、単語の意味分かってもそれを文章にすることができない、知っていても正しい発音を知らないから使えないなどの弊害があります。
歌であれば、どういった文章で使われているのか、どういった状況で使われているのかなどがイメージしやすいですので、使える単語が覚えやすくなります。
シラブルの重要性が分かる
シラブルは英語を学ぶ際に非常に重要な要素なのですが、シラブルを意識して学んだことがある人はとても少ないです。
シラブルの説明だけでかなり長くなってしまいますので、めちゃくちゃ簡単に説明してみましょう。
例えば「魚」は日本人がカタカナ発音すると「フィッシュ」になります。
日本人の発音を無理やり英語にすると「Fitsushu」です。
しかし、英語では「Fish」ですのでカタカナ発音で「Fitsushu」と発音すると通じません。
英語の音にすると「フィシ」ですので「フィッシュ」では音が増えてしまっているので訳の分からない単語になってしまうということですね。
これをシラブル(音節)と呼び、英語は正しい音節で話さないと伝わらないのですが、日本人は常に母音と一緒に発音するクセが付いているので非常に重要な要素となります。
そして、歌を練習していると、音やフレーズの繋がりにシラブルが重要になるので、自然と身に付きやすくなります。
リンキングとブレンディングが学べる
リンキングやブレンディングについて簡単に説明してみましょう。
カタカナ発音で「a lot of」を発音すると「ア ロット オブ」と私達は習ってきましたが、英語にすると「ア ロダブ」のように単語と単語をくっつけて発音します。
このような音の繋がりや混ざりを意識して身に付けないと、特にネイティブなど音を省略することが好きな人達の英語が聞き取れないことになりますが、英語の歌にはリンキングとブレンディングが多用されていますので、必然的に身につくようになります。
平坦過ぎて抑揚がない英語から脱出できる
日本人は英語を日本語と同じように静かなトーンで平坦に話すので感情が伝わりにくいのが特徴ですね。
外国人の話し方を聞いていると分かるように話す時は身振り手振りまで付けて、大げさなほど抑揚をつけて会話をする人が多いです。
歌には色んな感情が込められていますので、感情を込めて真似をしたり、アクセントなどを真似することで、外国人っぽい抑揚のついた英語が話せるようになります。
私はボイストレーナーをしていたネイティブから発音の授業を受けたことがありますが、さんざん発音の練習をさせられた後に「発音は基礎として大事だけど、それよりも大事なのはリズムだよ」と言われました。
無理なくいろんな歌を丸覚えできる
歌で英語を勉強する最大のメリットは、飽きずに無理なく英語を丸覚えできることです。
例えば「Is there anything I can do for you?」などの例文が50個あったとして、それを各100回づつ口に出して全部覚えなさいと言われると、口に出すのは簡単ですが覚えるのは難しいです。
しかし、これが歌であれば3分から4分の曲を丸覚えすることも難しくありませんし、50回、100回でも繰り返しながら楽しく練習することができます。
英語の歌でリスニングの練習をする方法
英語の歌で勉強する場合に効率が良いのは、やはり会話やひとり語りのような歌詞になっている歌ですね。
そういった話し言葉が多い歌を選んでいけば、そのまま会話に使うことができるので本当に効果が高いですね。
では、簡単に英語の歌を使った学習法を説明してみましょう。
と言っても、日本語の歌を覚える時にすることを同じで、基本は何度も聞いて繰り返すのみです。
動画や音声の再生速度を調整できるアプリをダウンロードする
「音声 速度 変換 アプリ」などで検索すればたくさんフリーのソフトがあるので、お好みのアプリをインストールしましょう。
0.1倍から2倍もあれば十分なので、無駄に高性能な必要はありません。
パソコンならGOMプレイヤーがあれば十分です。
練習する歌を決めたら歌詞付きの動画を探して何度か繰り返して見る
この段階で歌詞を読んで理解が追いつかない歌は止めておきましょう。
いくら好きな歌だとしても、内容が理解できない歌は英語力として身につかないので効果が低いです。
何度か動画をみて、歌詞の内容が8割以上理解できそうであれば大丈夫です。
歌の歌詞をノートに書き出して、内容を理解する
歌が決まったら、次は歌を一行づつ分解して意味や単語を調べます。
単純に歌を楽しみたいだけであればする必要はありませんが、あくまで歌を使った学習法ですので、内容を理解する作業は重要です。
意味が理解できたら、その歌のイメージも作ってみるとより歌が馴染むので良いですね。
音楽の速度調整をしながら1文づつ歌って練習する
日本人にとって歌詞を見ていても、リンキングやブレンディングのせいでどうやって歌っているのか分からない部分がたくさん出てきます。
聞き取れない箇所は0.5倍位まで下げて音の繋がりやタイミングを練習しましょう。
例えばエド・シーランの曲にこんな歌詞があります。
The club isn’t the best place to find a lover so the bar is where I go.
これをそのまま話してしまうとリスニングとしては全くなんの練習にもなりませんが、歌ではリンキングやブレンディングなどでこうなります。
The clubisn’the best place to finda lover so the bar is whereI go.
こういった部分部分で出てくる音の繋がりを意識して聞き取る練習を重ねれば、今まで聞こえなかった音が簡単に聞き取れるようになりますね。
この時に気を付けないといけないことは、ついていけないからとカタカナ発音で適当に歌ってはいけないということです。
何度も口の練習をして、しっかりと英語の発音で練習して下さい。
歌を覚えるまで繰り返し、覚えたら最低50回は繰り返す
ここまでくれば後は丸覚えして、何度も繰り返して歌うだけです。
慣れてきたら速度を1.2倍~1.5倍にして、速いスピードでもしっかりと聞き取りながら付いていけるように練習するのもオススメです。
速いスピードに慣れれば、通常の速度に戻した時に遅く感じますし、より正確な発音、タイミングをつかむ事ができるようになりますね。
英語の歌で勉強するのにおすすめの曲
レベルに合わせて遅い歌が~というブログをよく見かけますが、音が混ざってしまう速い音が聞き取れないからリスニング力を上げたいのに遅い歌を練習しても意味がありません。
先に説明したように内容が理解できない初心者がする学習法ではなく、ある程度聞いて話せる人がする学習法ですのでどんどん速いスピードに挑戦しましょう。
Taylor Swift – We Are Never Ever Getting Back Together
Taylor Swiftは滑舌が良いので、音の繋がりを聞き取りやすいですし、スピードも適度に速くて練習に最適です。
日常生活に使い回しの利く英文が多いのもおすすめポイントです。
Bruno Mars – The Lazy Song
Bruno Marsはラップ系などテンポが良い歌が多いので、口の練習に向いています。
また、フィリピン留学で先生とカラオケなどに言った時にフィリピン人ハーフのBruno Marsを歌えば、間違いなく盛り上がりますよ。
Ed Sheeran – Shape of You
かなりテンポが速い曲ですが、こういった曲の方が速い音に慣れるのに効果が高いです。
エミネムなどのラップも案外良いのでオススメです。
とりあえず3曲ご紹介しましたが、正直に言ってしまえば好きな曲で構いません(笑)
日本人にとっては英語の歌はどんな歌でもリスニング力や英語力アップに効果があるのは間違いありませんからね。
ただし、重ねて言いますが、初心者は基礎を学習してから取り組みましょう!